こんにちは、工学博士サラリーマンのたつ吉です!
この記事では
博士課程に在籍する学生のお金事情について、
文部科学省や日本学術振興会が公表しているデータを踏まえて解説していきます。

「実際どうなの?」を見ていきます!
本記事は、以下のような人におすすめです↓
- 博士課程に興味があるが、漠然としたお金の不安がある人
- 博士課程在籍中で、周りのお金事情が気になる人
- 博士号取得人材の所得水準を知りたい人
友人や知り合いでも正直、金銭事情については聞きにくいですよね。
この記事が、博士課程にまつわるお金の不安解消に役立てば嬉しいです。
<博士課程在籍中の>
- 資金源の内訳
- 借入金の金額
- 学費免除の有無
- 学振特別研究員への採用状況
<博士号取得後の>
- 所得状況
金銭面に限らず、博士号取得にどんなメリットがあるかを知りたい!という方は、こちらの記事にまとめているので参考にしてみてください▼
博士課程在籍中のお金の話
ここでは、博士課程在籍中の収入や借入金といった金銭事情について説明していきます。
資金源
下図は、「博士課程在籍中の経費(生活費・学費)の主たる資金源」を示しています。

【課程学生】
- 自分や親族からの援助でやりくり(約60%)
- フェローシップや返済無し奨学金(約20%)
- 返済有りの奨学金(約20%)
【社会人学生】
- 自分の収入や貯金から(約80%)
- 雇用先から援助(約10%)
- 親族からの援助や奨学金(約10%)
【外国人学生】
- フェローシップや返済無し奨学金(約65%)
- 自分や親族からの援助でやりくり(約30%)
- 返済有りの奨学金(約5%)
課程学生(=修士課程からそのまま博士課程に進学した人)のうち、
「返済義務のないフェローシップ・奨学金」を資金源としていたのは、全体の19%程度と低い結果でした。
博士課程進学に対する国のサポートは、まだまだ手厚いとは言い難い状況です。
借入金
下図は「博士課程修了時の借入金の状況」を示しています。

学費は少なくとも50万円/年以上するので、
ほぼ「50万円未満」=「借入無し」であると仮定して↓
【課程学生】
- 借入無し(53.8%)
- 200万円以上(38.6%)
【社会人学生】
- 借入無し(82.9%)
- 200万円以上(13.1%)
【外国人学生】
- 借入無し(87.8%)
- 200万円以上(8.7%)
前項目である資金源の傾向とリンクしますが、
日本人課程学生の借入金額が多く、学費・生活費の工面に苦労していることが分かります。
学費免除
下図は「博士課程在籍時の学費免除の状況」を示しています。

【課程学生】
- 免除なし(51.8%)
- 免除あり(44.5%)
【社会人学生】
- 免除なし(80.1%)
- 免除あり(17.9%)
【外国人学生】
- 免除なし(17.7%)
- 免除あり(72.8%)
学振特別研究員への採用状況
博士課程学生の収入源として代表的なものに、日本学術振興会の特別研究員制度があります。
特別研究員への採用ハードルは高いですが、
採用されると月額22.7万円(2027年度)の奨励金が支給されます。
ここでは、この学振特別研究員の採用状況や、採択率などを見ていきます。
下図は「学振特別研究員への採用状況(分野別)」を示しています。
なお、図中のDC1・DC2とは学振特別研究員のうちの採用区分の違いのことです↓
DC1:博士課程1年次から採用、採用期間は3年間
DC2:博士課程2年次以降から採用、採用期間は2年間

このデータを見ると、学振特別研究員への採用経験者は全体で12.2%と
決して多くないことが分かります。
ここで一点注意したいのは、
学振特別研究員の採択率=12.2%ではないということです。
上記の調査結果では「応募していない」と回答した人も併せて割合を出しているため、
採用者数/申請者数で割りだされる採択率とは異なっています。
そこでもう少し踏み込んで、
日本学術振興会が公表している数値を元に、DC1・DC2の採択率を見てみましょう。
下図は「学振特別研究員への採択率の推移」を示しています。


最新のデータでは、DC1/DC2ともに採択率は11~12%ですね
ここで、2022年度以降の採択率がぐんぐん低下しているのが気になります。
これは、2021年度から開始された「次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)」の影響と推察されます。
同プログラムにおける審査の際、学振特別研究員の審査結果(不採用通知)を提出することで加点される仕組みとなっているため、「通らないと思うけど一応学振の申請をする」という人が増加しています。
つまり、学振特別研究員の採用人数は変化していないが、申請者数は増加したため、
採択率が低下したものと考えられます。
博士号取得後のお金の話
ここでは、博士号取得後の収入について説明していきます。

実際どんなもんなのか気になりますよね!
年間所得(全体)
下図は「主な雇用先における年間所得(全体)」を示しています。

【課程学生】
- 最も割合の多い年収(400~500万円)
- 年収1000万円以上の割合(8.8%)
【社会人学生】
- 最も割合の多い年収(1200~1500万円)
- 年収1000万円以上の割合(37.8%)
【外国人学生】
- 最も割合の多い年収(400~500万円)
- 年収1000万円以上の割合(4.1%)
課程学生と外国人学生の年収のうち、最も回答割合が多かったのは400~500万円でした。
一方、社会人学生の場合は1200~1500万円と高い水準でした。
この明確な年収の違いは何なのでしょうか?
ここで注意したいのは、入社年次と役職の有無です。
課程学生と外国人学生は新入社員の年収、社会人学生は管理職登用前後(相場でいうと入社後10年くらい)と思ってよいかと思います。

社会人学生の多くはすでに会社で活躍していて「さらに上を目指したい!」という人ですからね!
社会人学生と課程学生それぞれのメリットや違いについては、以下の記事にまとめていますので、
気になる方は見てみて下さい▼
年間所得(分野別)
下図は「主な雇用先における年間所得(分野別)」を示しています。

- 保険分野は所得水準が高い(年収1000万円以上が37.8%)
- その他の分野は年収400~500万円が多い
この結果を見ると、保険分野の年収が高いようです。
年収水準の高い人はどんな雇用セクターに属すのか?次の項目で見ていきます↓
年間所得(雇用セクター別)
下図は「主な雇用先における年間所得(雇用セクター別)」を示しています。

- 大学/公的研究機関/民間企業では年収300~700万円が多い
- 年収1000万円以上の割合は非営利団体/個人事業主で顕著に多い
前項目の答え合わせになりますが、保険分野の年収水準が高いのは、
非営利団体(勤務医)/個人事業主(開業医)といった医療関係の影響が多いためと考えられます。
また、大学・公的研究機関・民間企業で比較すると、
年収1000万円以上の割合は
大学(14%)、公的研究機関(8%)、民間企業(24.8%)であり、民間企業務めの方が給与面だけでみれば有利であることが分かります。
修士・学士卒との比較
下図は「業種別 初任給の学歴別比較(総合職)」を示しています。

- 博士卒の初任給は、修士卒より3~4万円/月程度高い
- 修士卒の初任給は、学士卒より2~3万円/月程度高い

博士人材は当然、学歴と給料に見合った働きが求められますからね!
まとめ
今回は、博士課程在学中および修了後のお金事情について説明しました。
- 社会人学生は課程学生より金銭的余裕がある
- 学振特別研究員の採択率はDC1/DC2ともに12%弱程度
- 新卒博士の初年度年収は400~500万円が最も多い
この記事が、お金の不安や疑問解消に少しでも役立つことを願います!
以上、工学博士サラリーマンのたつ吉でした
最後まで読んでいただきありがとうございました!
<本記事の情報元>気になる方は是非見てみてください↓
・博士人材追跡調査-第5次報告書-(2026年5月)
(科学技術・学術政策研究所 ライブラリ)
・日本学術振興会 特別研究員
(特別研究員)
