こんにちは、工学博士サラリーマンのたつ吉です!

この記事では、

学術論文の読み“はじめ方”について解説していきます。

たつ吉

学生時代に1000報以上の論文を読んだ私が説明します!

本記事は以下のような人におススメです↓

  • 今後、論文を読んでみたいと思っている人
  • 「知見を広げるために勉強したいが、どの論文から読みはじめれば良いの?」と思っている人
  • 論文を読むメリットを知りたい人

学術論文とは、研究活動によって得られた新たな知見を公表するための文書のこと。

大学教員や優秀な修士/博士学生は、毎日この論文を読み、知識や考え方を強化しています。

おそらくこの記事を読んでいる人の多くは、
論文が研究スキル向上の強力な武器であることはイメージできているものと思います。

そして、論文を読む意思と興味はある。

ただ、「無数に存在する論文の中で、どれから読み始めれば良いのかが分からない」。
このステップで止まってしまい、悩んでいるのではないでしょうか?

たつ吉

私も研究室配属後、同じところで悩みました!

そこでこの記事では、
工学博士サラリーマンである筆者の経験に基づき、以下の内容について説明します。

この記事で分かること
  • 論文を読むことでどう変われるか
  • まず初めにどの論文を読むべきか
  • 筆者おすすめの最初の一報の読み方

この記事を読めば、「何から読みはじめれば良いの?」問題は解決します。

ぜひ最後まで読んでみて下さい!

論文を読むことでどう変われるか

慣れていない間は、論文を読むという行為自体かなりの労力です。

正直、明確にメリットを認識せずにトライすると、
次章で説明する<最初の一報目>を読んでいる途中で挫折してしまいます。

そこで本題に入る前に、
論文を「読まない自分」から「読む自分」になると、どんな良い変化が起こるのか?について説明します。

たつ吉

挫折しないためにモチベーションを上げておきましょう!

なお、ここでは大学/大学院の研究室に所属する学生を想定して話を進めます。

論文を読むことで起こる変化

「いやいや、論文を読むのと就活はさすがに無関係でしょ(笑)」と思った人もいるかと思います。

たしかに、論文を読んでいること自体が評価されて内定がもらえる なんてことはありません。

ここで言っているのは、

論文を読んで勉強した人は、していない人よりも研究成果が豊富で、
面接でも「この就活生は研究のことを良く理解しているな」と感じさせる回答が出やすいというシンプルな話です。

そして、

少なくとも筆者の周囲で、論文を読んでコツコツと勉強したうえで研究に向き合う学生は研究スキルが高かったこと。
また、そういった学生はことごとく志望企業から内定をもらっていた という経験に基づきます。

たつ吉

積極的に勉強している人の方が色んな所で高く評価されるよね!ということです

「なぜ論文を読むと成果が出やすくなるの?」や「論文を読んでいたかどうか、面接官はなぜ分かるの?」といった点については、別記事で詳細に説明しています。

参考にしてみて下さい▼

最初に読むべきは、担当テーマの軸となる『初代論文』

これから論文を読んで成長していきたい!と考える学生が最初に読むべきなのは、
自身の研究テーマの軸となる『初代論文』です。

普段から論文を読んでいる人からしたら「当たり前すぎて(笑)」というリアクションになると思います。

ただ、これすらちゃんと読んでいない人が本当に多いです。
むしろ、読んでいない人の方が圧倒的に多いとすら感じています。

たつ吉

皆さんの周りで、『初代論文』をちゃんと読んでいる人はどれくらいいますか?

補足のため、『初代論文』についてもう少し説明します。

教授が研究テーマを考える時、出所不明の突飛で奇抜なアイディアを採用することはほぼないでしょう。
あくまでも教授は、研究室のこれまで経緯に沿ったテーマを発案します。

例えば、

「当研究室で過去に発見した樹脂材料に、最近トレンドのこの物質を入れたら面白い研究になりそうだ」といった具合です。

実際、有名研究室ですら、軸となる先行研究の派生や組み合わせ変更が研究テーマの大半を占めています。

そしてこの、軸となる先行研究の内容について記載された論文こそが、『初代論文』です。

初代論文とは?

なぜ『初代論文』を読むべきなのか

本記事を読んでいる人は、
これから論文を読んで勉強しようとしている人だと思います。

そう考えた場合、初めに読む論文は、以下のようなものであるべきです。

  • できるだけ読みやすいものであること
  • 担当テーマ推進に活きると実感しやすいこと
  • さらに次の2報目を読む気を掻き立てること

これを念頭においたうえで、『初代論文』を最初に読むべきだと考える理由は次の通り↓

  • 所属研究室の論文は読みやすい/理解しやすいから
  • 担当テーマの研究意義に対する解像度が上がるから
  • 他者テーマの理解度も高まり、モチベーションが上がるから

これら理由のポイントを解説していきます↓

所属研究室の論文は読みやすい/理解しやすいから

論文は世界各国の研究者(人)が、英語で書いています。
そして、書き手それぞれの「文章のクセ」があるため、どうしても読みやすい/読みにくい論文が存在します。

多くの場合、我々が「読みやすい」と感じる論文は、日本人が書いた論文です。

さらに、所属研究室の論文では、見覚えのある物質/設備/実験データが登場するため、特別読み進めやすいのです。

たつ吉

まずは最後まで読みきれることが重要です!

担当テーマの研究意義に対する解像度が上がるから

担当テーマの研究意義をちゃんと理解できている学生は決して多くありません。

与えられたテーマを普通に推進する学生は、「これは何に使えるか?」という未来視点には興味があります。

一方で、「何が/どういう点で/どれくらい新しい研究なのか?」という過去~現在視点を知ろうとする人はあまりいません。

その点、『初代論文』は、この過去~現在視点における理解を一気に深めてくれます。

たつ吉

過去~未来の視点で研究と向き合える人が<できる人>ですよ

『初代論文』はその後、派生テーマを生むような立派な発見だったわけです。
論文発表の時点で、どれだけインパクトのある発見なのか?がこれでもか!というほど記載されているはずです。

先行研究が、「何がスゴイから派生して、今も研究し続けれられるのか?」を知ることで、現在担当しているテーマの見え方は急激に変わります。

テーマの解像度が高い状態で実験を行えば、それ以前とは比べ物にならないほど質の高い成果(アウトプット)が生み出されます。

他者テーマの理解度も高まり、モチベーションが上がるから

『初代論文』をちゃんと読むということはつまり、所属研究室の主要論文を一報読みきるということ。

当然ながら、知識レベルは大幅に向上し、これまで以上に他者テーマを理解しやすくなります。

さらに、偉大な成果である『初代論文』は、現有テーマに少なからず影響を与えている場合が多いです。

たつ吉

良い研究のエッセンスは、長期に渡って残り続けるものです!

他者テーマのコンセプトや考え方は、『初代論文』の影響を受けている となれば、『初代論文』を理解している人は、他者テーマの内容もイメージしやすくなるという流れです。

例えば、

『初代論文』の内容を理解したうえで他者の検討内容を聞くと、

  • このテーマはこういう点で新しいのか!
  • このテーマで一番ハードルが高いのはこのポイントだな!
  • あえてこういう進め方をしているのは何でだろう?

と、これまでに浮かばなかった発想や疑問が出てくるものです。
これが、他者テーマに対する理解度も上がるということ。

他者テーマ理解が進み、研究室内報告会などで良い質問・コメントができると、自身の成長を感じられます。

そして、この成長実感は「もう少し勉強を続けてみよう!」というモチベーションに繋がりやすいです。

初代論文の探し方/見つけ方

では、初代論文をどうやって見つければ良いのか?ですが、
以下の方法が有効です↓

  • 指導教官に聞く
  • 研究室のHPで探す
  • 検索ツールを使って探す

一番間違いない方法は、指導教員に聞くことです。

たつ吉

信頼できる先輩がいればその人に聞くのも良いですね!

もし、指導教官や先輩に聞きにくい場合は、研究室のHPを見てみましょう。
研究室HPの「論文」や「Publications」のタブに、これまでの発表論文がまとまっているはずです。

もし、上記のどれも難しい場合は論文検索ツールを使用しましょう(少し手間がかかるので推奨はしませんが…)。
最も信頼性の高いツールは、「Web of Science」です。

Web of Scienceの基本情報や使い方については、↓の記事が分かりやすいので、リンクを貼っておきます。
Web of Scienceとは?世界最高峰の学術データベースを完全解説 | ちょげぶろぐ

ド新規テーマを担当する場合は何から読みはじめるか

『初代論文』からの派生ではないテーマ。
つまり、研究室内で「ド新規テーマ」として扱われるテーマを担当する場合、何を読めば良いか?についてです。

この場合でも考え方は同じ。

ド新規テーマの発想元となった研究の『初代論文』を探してください。

そもそも、考えて発案した研究テーマの99.9%以上は、派生や組み合わせ変更です。
本当の「ド新規テーマ」というのは、派生研究の途中で偶然確認した「想定外」からしか生まれてきません。

つまり、研究室内ではド新規テーマと言われている場合でも、結局のところ、世の中にある知見を新たな視点で組み合わせてみようとしているテーマなのです。

既知の何かと何かを組み合わせるわけなので、この何かと何かの『初代論文』を読んでみましょう。
(この場合、最初から2報読むことになるのはご愛嬌です)

筆者おすすめの「論文の読み方」

ここでは、筆者おすすめの『初代論文』の読み方について紹介します。

たつ吉

私も大事な論文はこの方法で読んでいます!

おすすめしたい読み方は、以下の通り↓

  • 論文を印刷し、紙の資料として手元に置く
  • 色ボールペンと蛍光マーカーを用意する
  • 読めない単語があれば、単語の下に色ボールペンで意味を書く
  • 特に重要な文章を蛍光マーカーでハイライトする
  • 上記③④を繰り返しながら、読破する

上記④の特に重要な文章としては、例えば研究のインパクトを明確に表す文章などがあります。
「〇〇という研究はこれまでにない」とか「これは〇〇を達成した初めての報告例である」などはマーカーしておきたいところ。

その他にも、現象のメカニズムを説明している部分や「〇〇についてはまだ分かっていない」という記載は、今後の研究で重要になる可能性が高いので、マーカーしておくと良いでしょう。

なお、筆者が紙の印刷物として読むことをおススメしている理由は、「記憶に残りやすいから」です。
web文書より紙媒体で読んだ方が、内容が記憶に定着しやすいことは、脳科学的研究でも明らかになっているそうです。
(紙媒体で読書する効果については、「読書する脳」という本で丁寧に解説されています。↓にリンクを貼っておくので、興味があれば是非読んでみて下さい)

たつ吉

最初は分からない単語だらけ!
読むのに相当な時間がかかると思いますが、確実にあなたの力になります!

まとめ:論文を読めば研究の質が変わる!

論文を読む人

この記事では、論文の読み“はじめ方”について解説しました。

この記事で分かったこと
  • 最初に読むべきなのは、担当テーマの元となった研究の『初代論文』
  • 『初代論文』を読みきれば、知識レベルが大幅向上してテーマ理解度もアップする
  • 自身の担当テーマの理解が深まれば、他者テーマも理解しやすくなり、モチベーションが上がる
  • モチベーションが高いと、「もっと論文を読んで勉強してみよう!」という発想で、次に繋がる

いざ論文を読んでみると知らない表現や単語ばかり。
手元の論文は、メモ書きでグチャグチャになるのではないかと思います。

それは決して恥ずかしいことではありません。
書き込みだらけの論文はたくさん勉強した証拠!

きっと、あなたの指導教員も、研究室内で存在感を発揮している先輩も、皆その「メモ書きグチャグチャ論文」からスタートしているはずです。

たつ吉

むしろ、そういう人達に見せれば「頑張って勉強しているな!」を声を掛けてもらえると思いますよ!

これから読み始める人も、
過去にパラパラと読んでみただけ という人も、是非しっかりと『初代論文』を読み込んでみて下さい!

この記事が、頑張る学生の学びのキカッケにになれば嬉しいです!

以上、工学博士サラリーマンのたつ吉でした
最後まで読んでいただきありがとうございました!